Project プロジェクト
Ongoing Project 進行中のプロジェクト
次世代シークエンサーによる遺伝子増幅の検出
分子標的薬の標的遺伝子の異常には、遺伝子配列の異常以外に遺伝子増幅があります。代表的な例は、乳がんや胃がんに用いられるトラスツズマブで、HER2 遺伝子の増幅を指標にしてコンパニオン診断を行います。
遺伝子増幅の検出は次世代シークエンサーでは難しく、現在コンパニオン診断として承認されている技術は病理学的診断法のみです。次世代シークエンサーで可能になれば、遺伝子検査パネルに搭載できるので、他の遺伝子と一括して検査することができます。
肺癌では、EGFR 変異陽性肺癌の一次治療耐性の第一の原因は MET 遺伝子の増幅です。肺がんコンパクトパネルには MET 遺伝子増幅検出のための工夫も施してあり、現在検出方法を開発中です。
Completed Projects 終了したプロジェクト
代表が国公立学術研究機関在籍時に行ったプロジェクトは以下のとおりです。
肺がんコンパクトパネル
従来の遺伝子検査パネルは研究用のパネルをそのまま検査に流用しているのに対し、肺がんコンパクトパネルは肺癌の診療のために新たにつくったパネルです。従来のパネルと比較して遺伝子異常の検出率が劇的に向上しています。奈良先端科学技術大学院大学での研究成果をもとに株式会社 DNA チップ研究所が検査サービス化しました。正式名称は「肺がん コンパクトパネルⓇ Dx マルチコンパニオン診断システム」です。
2022年11月16日厚生労働省が体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)として4遺伝子(EGFR, ALK, MET, ROS1)を承認、2024年1月26日に3遺伝子(BRAF, KRAS, RET)を追加承認しました。7遺伝子版は2024年2月28日に保険収載されました。
Kato, K.; Okami, J.; Nakamura, H.; Honma, K.; Sato, Y.; Nakamura, S.; Kukita, Y.; Nakatsuka, S.-i.; Higashiyama, M. Analytical Performance of a Highly Sensitive System to Detect Gene Variants Using Next-Generation Sequencing for Lung Cancer Companion Diagnostics. Diagnostics 2023, 13, 1476.
EGFR リキッド
EGFR リキッドは、進行性肺がん患者の血液あるいは肺がん組織の DNA を用いて EGFR(epidermal growth factor receptor、上皮性成長因子受容体)の変異(エクソン19欠失、L858R)の有無を決定する検査システムです。EGFR チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI:ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ)選択の補助に用います。変異陽性の場合はEGFR-TKI を投与、陰性の場合はその他の治療法を選択します。大阪府立成人病センター(現・大阪国際がんセンター)での研究成果をもとに株式会社 DNAチップ研究所が製品開発を行いました。正式名称は「EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア」です。
2020年7月31日に厚生労働省が医療機器プログラムとして承認しました。2021年5月21日に「EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア」の一部機能(未固定組織を検体とする検査)について保険収載されました。2021年8月1日にはリキッドバイオプシー部分(血漿を検体とする検査)についても保険収載されました。
Uchida, J.; Kato, K.; Kukita, Y.; Kumagai, T.; Nishino, K.; Daga, H.; Nagatomo, I.; Inoue, T.; Kimura, M.; Oba, S.; Ito, Y.; Takeda, K.; Imamura, F. Diagnostic Accuracy of Noninvasive Genotyping of EGFR in Lung Cancer Patients by Deep Sequencing of Plasma Cell-Free DNA. Clinical Chemistry 2015, 61, 1191-1196.